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第二次トランプ政権の下、米国の外交方針は大きく変わり、ウクライナ戦争を巡る交渉でもその影響が顕著に表れています。
■ ロシアはウクライナを交渉から排除しない?
ロイター・モスクワ支局の2月19日発の報道によると、ロシアのプーチン大統領は同日、ウクライナを紛争終結に向けた交渉から排除するつもりはないと述べました。しかし同時に、「和平合意の鍵はウクライナではなく、米ロ間の信頼関係の修復にある」と強調し、米国との直接交渉を優先する姿勢を鮮明にしました。
この発言は、サウジアラビア・リヤドで開催された米ロ高官会合の翌日に行われたものです。
同会合にはウクライナや欧州諸国は招かれておらず、実質的に米ロ間の二国間交渉として進められました。
プーチン大統領は、「ロシアは欧州諸国やウクライナとの協議を拒否したことはない。むしろ対話を拒否しているのは欧州側だ」と述べ、ウクライナや欧州の反発に対して「ヒステリックな反応」と切り捨てました。
さらに、交渉の場に戻るかどうかは欧州やウクライナ次第であるとし、「相手側が望むなら、交渉を実現してもらおう。我々は交渉の席に戻る用意がある」と語りました。
しかし、ウクライナ政府はこれを真っ向から否定し、「ロシアが自国にとって有利な形で交渉を進め、停戦合意を戦略的利益に利用しようとしている」との懸念を示しています。
欧州諸国もまた、ロシアとの直接対話を避けることで、制裁の圧力を維持しようとしており、現時点では米ロ交渉の行方に不透明感が残っています。
■ 米国トランプ政権の外交方針がもたらす変化
今回の動きは、単なる停戦交渉ではなく、米国の外交方針の転換がもたらす地政学的な変化の表れです。
ウクライナは今、かつての「特別なパートナー」ではなく、米国にとって「交渉の駒」として扱われつつあります。
そして、日本もまた、同じ道を辿る可能性が否定できません。
■ ウクライナを切り捨てる米国、日本は他人事ではない
トランプ大統領はすでにウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と批判し、バイデン政権とは異なり、ウクライナ支援を消極化させる姿勢を明確にしています。
プーチン大統領が「米ロの信頼回復が鍵」と強調するのも、米国がウクライナを支援し続ける保証が揺らいでいるからにほかなりません。
この状況を日本の安全保障と照らし合わせて考えると、「日米同盟があるから大丈夫」という楽観論は、もはや通用しないことがわかります。
トランプ大統領は以前から在日米軍の駐留費負担増を要求しており、日本がそれに応じなければ、駐留縮小や米軍撤退の可能性すら浮上しかねません。
米国が台湾問題や欧州の安全保障を優先する中、日本が「アメリカ頼み」でいる限り、ウクライナと同様に突然見捨てられるリスクを抱えているのです。
■ 日本は独自の安全保障戦略を持つべき時
第二次トランプ政権の外交姿勢が示すのは、米国の安全保障政策が徹底して「アメリカ・ファースト」であるという事実です。
もはや、日本が米国に全幅の信頼を置いていられる時代は終わりを迎えました。
ウクライナの現状は、日本にとっても決して他人事ではなく、今後の安全保障のあり方を見直す必要があります。
日本は、日米同盟を維持しつつも、独自の国防力強化や地域的な安全保障協力を推進するべき時に来ています。
経済安全保障や防衛政策の見直し、さらには外交戦略の再構築が求められる中、ウクライナの現状を「明日の日本」として考えなければなりません。
第二次トランプ政権の下、米国の外交姿勢はますます冷酷なリアリズムへと向かっています。日本は、その現実を直視し、今こそ自らの安全を自ら守る覚悟を持たねばならないのです。
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